江差追分
ビュービューと日本海から吹き上げてくる風は雲を流し、強くて冷たい。
そんな北西風に乗って、ときおり尺八の音と江差追分が流れてくるような気がする。
哀愁のこもった江差追分を聞きたくて江差を訪ねた。
朝、札幌から函館行き北斗4号に乗った。
函館と木古内で乗り換えて、日の傾きかけたころ、ワンマン列車が江差駅に着く。
ホームに降りると、なんと江差追分が流れていた(やったあ)。
「そりゃ、江差追分はむずかしいヨ。オレなんか借金の言い訳の方が簡単だナ。いつもやっているから…ハハハハ」
「町の人みんな歌えるんですか?」
と聞くと、
「そんなことはないよ。でも最近は学校の部活もあるらしいヨ。9月の全国大会なんかすごいから、人が集まってきて。会館もびっしりになるし、人口もいっぺんに増えるし、ウチなんかも少しはもうかるしネ…ハハハハ」
「やっぱりナマで聞いたらいいでしょうネ、追分はア…」
「そりゃもう最高!でも、朝から晩までそればっかり聞いてるのもゆるくないヨ。ハイ、上がったヨ」
と、〈幸鮨〉のご主人はすしを握りながら、おもしろい話を聞かせてくれた。
なんでも、ご主人は江差追分より魚釣りや毛ガニが大好きなんだそうだ。